正直なところ、写真関係のいろんなことに飽き飽きしていた。新規で使いたいと思う機材もないし、心惹かれる被写体も見つからないでいた。おまけに、フィルムや印画紙等の感材は、高騰する一方だし。
以前から、ほんの少しだけ、僕が住む地域の風景を撮ってみたいと思っていた。でも、風光明媚な場所に住んでいるわけではないので、何を撮っていいのか分からないし、あるのかないのか分からない撮影対象をひたすら探すために彷徨うのは億劫過ぎる。カントリーエレベーターのある風景は、以前から惹かれるものがあったが、カントリーエレベーターだけを撮影しても仕方がないなあと思っていた。周囲とのマッチングが必要なのだ。
都市に住んでいたら都市の風景を、古都に住んでいたら古都の風情を、水際に住んでいたら水の風景を撮るのだろうけど、残念ながら、僕の周囲にはそのどれでもない風景が広がっているだけだ。集落や小規模都市が点在して、その間には農業地帯が広がっている。風情のある町並みが残っている集落や都市ではないので、それは撮影対象とはしづらい。それなら農業地帯を撮ってみようと思った。その方向で、数枚でも作品が作れればそれで満足だ。
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