前日の夜、澄み切った東の夜空に満月が浮かんでいるのが見えた。天文台のウェブサイトで調べたら米原での月の入りの時刻は8時30分頃になっている。もしかして、良い位置に月が浮かんでくれるのではないかと思い、さらに詳しく調べてみたが、どうも狙った位置よりもかなり北にしか動かないようだ。しかし、空気が澄んでいるので、遠景がくっきりとした写真が撮れるのを期待して、夜明け前に自宅を出て琵琶湖へ向かった。
ここ数日、冷え込んだせいか、周囲の山の上には雪が積もっている。この場所で岬と沖島を組み合わせて、4枚ほど撮影する。月を見ると、やはり予想通り北西の方角に浮かんでいる。尾上まで行けば、月と水没林を組み合わせた写真が撮れるのではないかと思い、北上し、尾上に到着したが、月は葛篭尾崎の上あたりに位置している。月を撮るのは諦めた。
時刻を見るとまだ8時30分。このまま帰宅するには早すぎる時間だ。もう一仕事出来そうだ。どこへ行き、何を撮ろうか考えた結果、先週、父親から鶏足寺で紅葉を撮影した話を聞いたので、行ってみることにする。白黒フィルムなので、紅葉を撮るには向いていないと思うし、紅葉のベストシーズンは既に終わってしまっている。でもまあ、どんなところか見てみたいと思ったのだ。
駐車場に到着したが、早い時刻のためか、まだ人はまばらだ。石道寺の観音堂を通り過ぎ、奥へ向かう。この石道寺の観音像は興味があるのだが、いつかまた見ることにしよう。
京都の完全に整備された有名な紅葉の観光地とは違う良さがこの鶏足寺にはある。
今年は期を逃してしまったが、紅葉の最盛期に、またいつの年にか来よう。写真を撮るためだけではなく、紅葉を見るために。
デジタル一眼レフで撮影している人も多い。僕もカメラを取り出して、何か撮影したくなった。まだ落葉してない枝を見つけて、テレコンゴー500mmにイエローフィルターを装着し、撮影してみる。あまり期待してないが、フィルターを使うことで、黄色い葉がどれだけトーンセパレーションを得られるのか興味深いところだ。こういう場所で撮影していると、人に話しかけられるのが常だ。今回も、「いつの時代のカメラか」等といういつもの質問を受けたりする。まあ、慣れているけど。
撮影後、集落の方向へ向かって歩くことにする。イノシシが猛烈なスピードで歩く前を駆け抜けて行き、驚いた。集落内には土蔵があったり現役で粉を挽いている水車小屋があったりと、里山感が漂っている。集落を一周して、駐車場まで戻るルートのハイキングコースのような山道に、熊に注意するよう旨の看板が立てかけてあるのを見かける。この時は僕一人だし、周囲には誰もいないし、熊避けの鈴も持ってこなかったし、急に心細くなってきた。一人で叫びながら歩くわけにもいかないし。
そんな道を10分ほど歩き、先ほどの鶏足寺へ到着した。この日はブローニーを1本撮ることが出来なかった。撮影途中のフィルムは、まだロールフィルムホルダーの中だ。
山道のイノシシは怖いですね。うちの市でも結構住宅のあるところにも降りてきてますし。
今年は(要るか要らないかはともかく)熊よけの鈴買いましたよ。
あの時は、もし熊に遭遇して逃げられない状態になったら三脚で戦おうと思ってました(笑)