植田正治・上田義彦

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 図書館で、植田正治と上田義彦の写真集を借りた。

 植田正治は、人物と静物の2冊を借りたんだけど、借りる人もあまりいないのか、書庫に眠っているものを、蔵書検索して見つけた。この人って、そう言えば二科の会員だったんだなあって思い出した。以前、僕が二科の先生に教えてもらっていた時に、二科の写真集を買ったことがあったんだけど、そこに植田正治の砂丘(もはや定番)の写真が掲載されていたような記憶がある。砂丘の演出写真があまりにも有名だけど、わざとらしいそういう写真よりも、僕はどちらかいうと、多くは掲載されてはいなかったが、人物のスナップ写真の方が好きだ。

 上田義彦は、ダイジェスト版みたいな 「PHOTOGRAPHS」を借りた。 全ての写真家に言えることだけど、一人の写真家で、好きだと思える写真なんてそう多くはない。でも、そう思える写真こそが、とても貴重な出会いなんだと僕は思っていてる。この写真集の中では、野菜やイスの静物写真がいいなあって思った。この人のことだから、この手の撮影対象には、大判カメラを使用しているのだろうけど、とても甘い描写だ。大判で静物写真を撮るとなると、ガチガチに精密に撮ろうと思ってしまいがちなんだが、そんな撮り方はしていない。
 
 上田義彦って、他には「at home」も見たことがあるけどトーンがとても甘いのだ。眠いんじゃないかと思うくらいだ。写真集って、所詮印刷物だから、実際のプリントをどこまで正確に反映しているのかは疑問だけど、それを加味しても、かなり柔らかいトーンだと思う。印画紙の最大濃度なんて、どこにも出てない。
 でも、これって、上田義彦に限ったことではなくって、ハービー山口の写真もそうなんだよねえ。この柔らかいトーンは、いわゆる一般的な締まりのあるシャドー部、冴えのあるハイライトといった、きれいなプリントには、当てはまらないのだけど、それでも、これはこれでいいなあって思うのだ。

 それに対して、植田正治の写真集は、ガチガチのトーンで印刷されている。結局のところ、心地の良いトーンっていうのは、人それぞれなんだろう。撮影対象によっても、それは違うだろうと思う。上田義彦も、風景や建築物はシャープでコントラストの高い写真もあるし。

 そもそも、常にフルトーナルで表現しなきゃならないということもないんだな。ただ、それが眠い写真しか作れない技量しか持たない場合の、言い訳であってはいけないんだけどね。

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このページは、うたろうが2007年12月26日 22:59に書いたブログ記事です。

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