2014年3月アーカイブ

湖岸

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タチハラフィルスタンド45Ⅱ CMフジノン105mm アクロス(4×5・EI50)
 シュテックラー氏二浴式現像液 LPLV7454 ケントメアファインプリントVC D72


 複数のグレードを使用したり覆い焼き、焼きこみで絵を作りこんでいくのは、スナップよりも風景の方がより手間がかかる傾向にある。この写真も例外ではなく5回ほど露光しなくてはならなかった。僕の場合、いつもそうなのだが、確固たる完成イメージが存在してそれに向かって作りこんでいくわけではなく、ワークプリントを何枚も焼いて、手直しを繰り返す。直すべきところがなくなった時点で完成を向かえるという手法だ。

 完成形がイメージ出来ていなければ、撮影時のフィルムへの正確な露光は出来ないというわけではない。撮影時には、輝度差を計測し、それをフィルムの記録再現幅に収める作業だけに専念する。あとは、暗室でネガに記録された情報を引き出せばいい。最適な状態で引き出すために、グレード調整や覆い焼き、焼きこみ、ブリーチを施すわけである。

20140325.jpg

taken EOS kiss digital X3   +   Ai Nikkor  50mm  f1.4


  リンホフの「マスターテヒニカ2000」を購入した。大判カメラを使い始めた頃からいつかはリンホフを使ってみたいと思っていた。大判カメラは単なる箱なので、木製暗箱のタチハラであろうとリンホフであろうと撮れる写真が大きく変わるわけではないことは知っている。
  金属製のフィールドカメラならトヨやウイスタがある。リンホフに比べたら安価だ。フィールドカメラではないが、トヨのビューカメラにVX125といいフィールドカメラのように軽量な物もある。実用上はどれも信頼に足るカメラである。でも、愛せそうになかった。

 大判カメラを始めてからずっと使っているタチハラフィルスタンド4×5(Ⅱ)は造形的に美しいだけではなく抜群に使いやすい愛すべきカメラだ。後枠がギアで移動出来るため、後枠でのピント調整が可能な点は、とても便利だ。実質的には大判カメラはこのタチハラが一台あればそれでいい。風景も静物も僕の使い方なら、申し分ない機能を有している。でも、そんなタチハラだが、昨年、製造終了になってしまった。落下させたり手荒な扱いをしなければ、木製のタチハラでも数十年は使用に耐えることは想像に難くはない。蛇腹の交換や修理もある程度は対応してくれる業者もあるだろう。それは分かっている。

  フィルムカメラのユーザーが日増しに減っていく状況の中で、リンホフを購入するなんて酔狂なことかもしれない。高価なカメラを買ったところでフィルムの供給がなくなったり、購入する事が困難なほど高価になったら使用するのは難しい。そしてそれは、いつか現実に起こりうることなのだ。しかし、フィルムカメラで撮影し、暗室でプリントを楽しんでいる事自体、既に相当な好事家である。今更リンホフを買うのをやめたところで何が変わるのか。それに、年齢的にも、やりたいことは今のうちにやっておかなくてはならないし、フィルム写真の凋落ぶりを考えると、10年後、あるいは20年後とかに買うべきものでもないと思うのだ。

  結局のところ、タチハラが生産終了してしまったこと、消費税が上がること、このページによると、僕の欲しいリンホフの機種は20世紀の終わりの1994年から1998年くらいまでの間に生産されたものであり既に20年近く経過しているため、状態の良いものを入手するなら今のうちであること。といった理由が購入の後押しをしたのだ。  しかし、そうは言っても、僕が愛用しているローライコード4は1953年に生産されたもので、60年以上経過しているが、その割には、きれいだし、機械としての調子もばっちりだ。「高級カメラであること」に魅力を感じて購入されたリンホフは酷使されているわけもなく、状態が良いものに出会える確率は髙いのかもしれないが。  リンホフテヒニカは、その生産された時代によって数種類あるが、マスターテヒニカ2000(前期型)というモデルを選択したのかは、次の理由による。

1 距離計が装備されていないこと
  僕の場合、様々な交換レンズを使用するし、グラウンドグラス上でピント合わせや構図決定を行うので、距離計は使用しない。使用しないものはない方がいい。なければ故障することはないし、軽くもなる。

 2 広角レンズに強いこと
  前モデルのマスターテヒニカは、広角レンズ使用時にベッドを落とす事は出来るが、後枠でピントを合わせるためには、アオリの動作をするようにしてピントを合わせなくてはならないが、2000では、ボディ内にフォーカスレバーが機能追加されているので、ピント合わせがしやすいのだ。広角レンズを使う予定がなければ2000ではなく、マスターテヒニカで良かっただろう。その方が安く買うことが出来る。

 3 「作り」の精神的な問題
  元々、マスターテヒニカ2000は、オプションで距離計の代わりに「電子測距システムEMS(Electronic Measuring System )ユニット」を装着することが出来るらしいのだが、これがあまりにも売れなかったみたいで、4年ほどで生産終了となったようだ。前期モデルまでは、ノブの色を見ても前モデルのマスターテヒニカと同じであるが、2000(後期型)は、3000と同じ色になり、アオリ用のノブがマスターテヒニカと同じ位置に変更されている。機能的なことを考えれば、3000の方がさらに広角レンズを使用するための機能が向上しているので使いやすいだろう。でも、現行モデルなだけに高価でもある。中古価格も高くて手が出ない。  中古カメラ屋で、2000の前期型と後期型が並べられて売っているのを見たが、やはり「物」としての作りこみは前期型に分がある。「作りこみ」にこだわるなら、テヒニカの5型だと言う人がいる。確かにそうかもしれない。でもそれは広角レンズの使いやすさとトレードオフということになる。

 4 使ってみての感想
 僕の手元に届いたマスターテヒニカ2000は、ピント繰り出しようのギアが歪んでいたせいか動きが異常に硬かったが、修理してもらったら驚くほどスムーズになった。その点は問題ない。それから、これは好みの問題だと思うのだが、グラウンドグラスが標準の物はフレネルレンズが付属していない。そのため、広角レンズを使用したときは、周辺部が暗くてとても見にくい。視点をずらせば何とか見えるレベルなので、このまま使おうかとも考えたが、全体を見渡せないと、構図決定が困難なので、エボニーのフレネルレンズ付きのグランドグラスに交換した。  これでやっと、まともに使えるようになった。  テヒニカは、タチハラに比較すると重量にして1キロほど重い。でも、タチハラは筐体の外側にギミックが露出しているが、テヒニカは筐体内部に入っているため、折りたたんだ時のコンパクトさはテヒニカの方が優る。  タチハラは凹ボードが付いた75mmであれば、前枠を一番前に出した状態で後枠によるピント調整を行えば、縦位置でもケラレることはないが、テヒニカはそういうセッティングが出来ないので、縦位置ではケラレてしまう。そのためドロップベッドを落としたり、大判カメラなのに、小型カメラのように三脚の雲台を操作して縦位置で撮影しなくてはならない。 今のところ、慣れの問題だとは思うがタチハラとテヒニカでは、タチハラの方が素早く撮影出来そうな気がする。しばらくはテヒニカのみを使って慣れることにしてみよう。


妻籠

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20140323.jpg

 写真仲間(カヤック仲間)のてっさんと妻籠へ撮影に出かけてきた。電車の不調により南木曽駅への到着が遅れて、妻籠行きのバスに乗り遅れた。次のバスは2時間後だったので、1時間ほど早春の中山道を妻籠まで歩いた。

 この日はローライコード4にトライXを装填して手持ち撮影したが、もしかしたら、アクロス(EI100)でもいいのかもしれないなあと思った。

 アクロスにしてもT-MAX100にしても、現像後のネガはくっきりと画像が出るのだが、ISO400クラスのフィルムはネガだけを見るとぼんやりとしているように見える。でも、プリントしてみると意外に問題がないので不思議な感じである。問題がないのは、ちゃんとテスト現像をやっているので、まあ当然と言えば当然なんだけど。

 軽い二眼レフを持ってブラブラ歩きながら、撮影するのは気分がいい。この日はブローニーを1本撮った。プリントするのが楽しみだ。
 シートフィルムの現像は、ハンガーによる現像を試していたけどムラに悩まされたのと、暗闇で作業しなくてはならないのが苦痛で 諦めた。シートフィルムは、1枚ずつ現像を調整出来るのが利点なので一度に多くの枚数を処理することはない。そのため、タンク現像で2枚ずつ現像できれば良いと考え、現状ではこの方法で現像している。

 需要がありそうなので、記録しておくことにする。


20140322a.jpg用意するもの。

・現像タンク(35mm 4本用)
・撮影済みフィルム(これは当然だな。)
・輪ゴム4個
・プラダンを適当な大きさに切ったもの。

※プラダンはホームセンターで売ってます。何色でもいいと思うけど、黒がれば精神衛生上、その方がいいかも。

20140322b.jpg
※作業は、当然のごとく、暗室もしくはダークバッグ内で行う。

 フィルムの乳剤面を内側にして、左の画像のようにプラダンでフィルムを包み、輪ゴムで固定する。
 何でこうするのかというと、タンク内でフィルムが動かないようにするためだ。タンク内でフィルムが動くと、傷が付いたりフィルム同士がくっついたりして失敗の元になるからだ。乳剤面を内側にするのは、外側にすると輪ゴムやプラダンと接触するのを避けるためである。

20140322c.jpg
 上記の画像の状態にしたものを背中合わせにしてタンクに放り込む。

 現像工程は、通常のロールフィルムと同じで倒立攪拌で行う。
 定着は、1分間ほど定着したら、タンクからフィルムを取り出して、トレイ(バット)で定着処理を行う。なぜなら、輪ゴムの跡が残ってしまうのを防ぐため。

 この方法の利点は、皿現像のように連続攪拌ではなく、攪拌量の調整が出来る。つまり、先鋭度を高めることが出来る。1分毎の攪拌にするのか30秒毎の攪拌にするのかは、ムラの発生状況により調整する。
 短所は、一度に2枚しか現像できないことなんだけど、それは、一回目の現像の調子を見て二回目の現像量を決めることも出来るという利点とトレードオフであると考えればいい。
 いずれにしても、今の僕にはこれが最良の方法だと思っている。

春一番が吹いたら

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20140321.jpg

 ニューマミヤ6の中に、途中まで撮影したフィルムが残っているのを思い出し、ずっと気になっていた場所へ出かけた。この日は春一番が吹いた。ニューマミヤ6だと、アオリのライズが使えないので、エレベーターを少し上げて対処した。またそのうち大判カメラを持って撮りに来よう。こういう建物はいつなくなるか分からないし。
20140303.jpg

1月に琵琶湖へ撮影に出かけたとき、三脚を水に浸けた状態で撮影したせいか、未だに三脚を延ばした時に水が出てくる。このままでは三脚にも精神的にもよろしくないので、メンテンスすることにした。購入して4年くらいだが、分解したことは一度もない。方法がよく分からないので、脚の付け根の部分のナットを緩めてみる。メガネレンチが手元になかったので、ウオータープライヤーを使う。今後のためにもメガネレンチを買ってきたほうが良さそうだ。構造は至って単純だ。結果的には、ここまで分解しなくても、水に浸かった場合は、石突(いしづき)を外して中を乾かせば良いことが分かった。

  組みつけのとき、手元にメガネレンチがなく、きつく締めることが出来なかった。適正なトルクで締め付けないと、脚を掴んだ時に開いてしまうのだ。翌日、100円ショップで13mmのメガネレンチを2本購入し、増し締めしてメンテナンス作業を完了した。 多少の紆余曲折はあったものの、自分でメンテナンス出来る範囲のハスキーの構造は理解出来た。三脚は今までに何本も購入したが、ハスキー3段に辿り着いてからは、他の三脚に目移りすることはなくなった。大幅なフルモデルチェンジもないだろうから、メンテナンスやオーバーホールをしながら、ずっと長い間愛用出来るだろう。
20140302.jpg

 富士フィルムフォトサロン大阪で開催されている、『フジフイルム・フォトコレクション』展日本の写真史を飾った写真家の「私の一枚」を見に行ってきた。写真の黎明期の19世紀中ごろの鶏卵紙の写真から最近のものまで、名だたる写真家の作品が展示されていた。一度は見たことがある写真ばかりだ。これけのものをまとめて見ることが出来る機会はあまりない。しかも無料。目新しさはないが、過去の名作を確認するのに良い機会だった。

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