リンホフ マスターテヒニカ2000

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taken EOS kiss digital X3   +   Ai Nikkor  50mm  f1.4


  リンホフの「マスターテヒニカ2000」を購入した。大判カメラを使い始めた頃からいつかはリンホフを使ってみたいと思っていた。大判カメラは単なる箱なので、木製暗箱のタチハラであろうとリンホフであろうと撮れる写真が大きく変わるわけではないことは知っている。
  金属製のフィールドカメラならトヨやウイスタがある。リンホフに比べたら安価だ。フィールドカメラではないが、トヨのビューカメラにVX125といいフィールドカメラのように軽量な物もある。実用上はどれも信頼に足るカメラである。でも、愛せそうになかった。

 大判カメラを始めてからずっと使っているタチハラフィルスタンド4×5(Ⅱ)は造形的に美しいだけではなく抜群に使いやすい愛すべきカメラだ。後枠がギアで移動出来るため、後枠でのピント調整が可能な点は、とても便利だ。実質的には大判カメラはこのタチハラが一台あればそれでいい。風景も静物も僕の使い方なら、申し分ない機能を有している。でも、そんなタチハラだが、昨年、製造終了になってしまった。落下させたり手荒な扱いをしなければ、木製のタチハラでも数十年は使用に耐えることは想像に難くはない。蛇腹の交換や修理もある程度は対応してくれる業者もあるだろう。それは分かっている。

  フィルムカメラのユーザーが日増しに減っていく状況の中で、リンホフを購入するなんて酔狂なことかもしれない。高価なカメラを買ったところでフィルムの供給がなくなったり、購入する事が困難なほど高価になったら使用するのは難しい。そしてそれは、いつか現実に起こりうることなのだ。しかし、フィルムカメラで撮影し、暗室でプリントを楽しんでいる事自体、既に相当な好事家である。今更リンホフを買うのをやめたところで何が変わるのか。それに、年齢的にも、やりたいことは今のうちにやっておかなくてはならないし、フィルム写真の凋落ぶりを考えると、10年後、あるいは20年後とかに買うべきものでもないと思うのだ。

  結局のところ、タチハラが生産終了してしまったこと、消費税が上がること、このページによると、僕の欲しいリンホフの機種は20世紀の終わりの1994年から1998年くらいまでの間に生産されたものであり既に20年近く経過しているため、状態の良いものを入手するなら今のうちであること。といった理由が購入の後押しをしたのだ。  しかし、そうは言っても、僕が愛用しているローライコード4は1953年に生産されたもので、60年以上経過しているが、その割には、きれいだし、機械としての調子もばっちりだ。「高級カメラであること」に魅力を感じて購入されたリンホフは酷使されているわけもなく、状態が良いものに出会える確率は髙いのかもしれないが。  リンホフテヒニカは、その生産された時代によって数種類あるが、マスターテヒニカ2000(前期型)というモデルを選択したのかは、次の理由による。

1 距離計が装備されていないこと
  僕の場合、様々な交換レンズを使用するし、グラウンドグラス上でピント合わせや構図決定を行うので、距離計は使用しない。使用しないものはない方がいい。なければ故障することはないし、軽くもなる。

 2 広角レンズに強いこと
  前モデルのマスターテヒニカは、広角レンズ使用時にベッドを落とす事は出来るが、後枠でピントを合わせるためには、アオリの動作をするようにしてピントを合わせなくてはならないが、2000では、ボディ内にフォーカスレバーが機能追加されているので、ピント合わせがしやすいのだ。広角レンズを使う予定がなければ2000ではなく、マスターテヒニカで良かっただろう。その方が安く買うことが出来る。

 3 「作り」の精神的な問題
  元々、マスターテヒニカ2000は、オプションで距離計の代わりに「電子測距システムEMS(Electronic Measuring System )ユニット」を装着することが出来るらしいのだが、これがあまりにも売れなかったみたいで、4年ほどで生産終了となったようだ。前期モデルまでは、ノブの色を見ても前モデルのマスターテヒニカと同じであるが、2000(後期型)は、3000と同じ色になり、アオリ用のノブがマスターテヒニカと同じ位置に変更されている。機能的なことを考えれば、3000の方がさらに広角レンズを使用するための機能が向上しているので使いやすいだろう。でも、現行モデルなだけに高価でもある。中古価格も高くて手が出ない。  中古カメラ屋で、2000の前期型と後期型が並べられて売っているのを見たが、やはり「物」としての作りこみは前期型に分がある。「作りこみ」にこだわるなら、テヒニカの5型だと言う人がいる。確かにそうかもしれない。でもそれは広角レンズの使いやすさとトレードオフということになる。

 4 使ってみての感想
 僕の手元に届いたマスターテヒニカ2000は、ピント繰り出しようのギアが歪んでいたせいか動きが異常に硬かったが、修理してもらったら驚くほどスムーズになった。その点は問題ない。それから、これは好みの問題だと思うのだが、グラウンドグラスが標準の物はフレネルレンズが付属していない。そのため、広角レンズを使用したときは、周辺部が暗くてとても見にくい。視点をずらせば何とか見えるレベルなので、このまま使おうかとも考えたが、全体を見渡せないと、構図決定が困難なので、エボニーのフレネルレンズ付きのグランドグラスに交換した。  これでやっと、まともに使えるようになった。  テヒニカは、タチハラに比較すると重量にして1キロほど重い。でも、タチハラは筐体の外側にギミックが露出しているが、テヒニカは筐体内部に入っているため、折りたたんだ時のコンパクトさはテヒニカの方が優る。  タチハラは凹ボードが付いた75mmであれば、前枠を一番前に出した状態で後枠によるピント調整を行えば、縦位置でもケラレることはないが、テヒニカはそういうセッティングが出来ないので、縦位置ではケラレてしまう。そのためドロップベッドを落としたり、大判カメラなのに、小型カメラのように三脚の雲台を操作して縦位置で撮影しなくてはならない。 今のところ、慣れの問題だとは思うがタチハラとテヒニカでは、タチハラの方が素早く撮影出来そうな気がする。しばらくはテヒニカのみを使って慣れることにしてみよう。


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コメント(2)

こんばんわ♪

タチハラ生産終了ですか!
 - 知らなかった! 残念!

リンホフも イイですよネ
 - ワタクシ縁がありませんが 笑

タチハラ購入の時
ワタクシは ジナーF2か? いっそ トーホーFC810にしようか?
悩みましたが 笑

あとレンズ2本ぐらい ほしいんですケド 笑

リンホフで撮った写真を楽しみにしております!

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このページは、うたろうが2014年3月24日 19:03に書いたブログ記事です。

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