2014年6月アーカイブ

静物写真の午後

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20140608.jpg

 久しぶりに静物写真を撮った。リンホフMT2000よりも、タチハラ45Ⅱの方が後枠を動かしてピント調整が出来ることから、静物写真には向いているのだが、使いたいカメラを使うということで、リンホフにした。

 静物写真のモチーフとしては、スーパーで売っているきれいな野菜よりも、その辺の畑に転がっているような形の悪いタマネギの方が向いている。近所の野原で、葛のツルや、名もなき草花を集めてきてそれを配置し、撮影が完了する頃には2時間ほど経過していた。壁が白いけど、スポットメーターで測ったら輝度差が少ないので、普通にプリントしたらそれほど白くはならないと思うので、ブリーチでハイライトを作り込む事が必要だろうなあ。

サイパンへの手紙

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 部下が職務で船に乗りサイパンへ旅立った。噂に聞くと、その職務は厳しく、船という閉鎖された空間でもあることから精神的に追い込まれたりもするので、力づけるための手紙をワープロではなく自筆で書いてやって欲しいと別の部署の人から頼まれたので、書くことにした。

 僕も以前、サイパンを訪れたことがある。2005年の9月のことだ。この頃は、フジのプレストのブローニーがまだ売っている頃だった。海外旅行に中判カメラを持って行ったのはサイパンが初めてだった。南の島へ行くのにモノクロフィルムなんて普通に考えたら妙な選択なのかもしれない。しかし、元々モノクロフィルムしか使わない僕には、それが唯一のものであり、カラーとモノクロ、どちらを持って行くかで悩むことはなかったのだ。

 サイパンは、グァムと比較すると、田舎な感じがする。でも、もう一度行くならサイパンを迷わずに選ぶ。何もない静かな浜辺があればそれでいいのだ。デッキチェアーがたくさん並んだ賑やかなビーチもいいけど、地元の人が散歩しているような浜辺がいい。

 サイパンヘは夜中に到着した。安ホテルで一晩過ごして、翌朝、ホテルの前のビーチを散歩した。チャモロの太った大柄な男性が、一心に浜辺に穴を掘っていた。いったい何を埋めるための穴なのか、それが判明したのはその日の夜のことだ。

 海沿いの道を、ニューマミヤ6を持って、撮影しながらひたすら歩いた。途中、スコールに遭ったので、軒先に避難した。チャモロの人たちが地元の祭りをやっている。プラスチック製のイスを、バンバンと破壊していると思ったら、どうやらイス取りゲームをしていたみたいだ。体格が大きすぎるので、ゲームが白熱してくると、プラスチックのイスでは耐え切れずに、砕け散るのだ。その様子を見ていた、体格の良いおばさんが、豪快に笑っていた。あまりにも楽しそうだったので、しばらくその様を眺めていたら、10歳くらいの少女が、僕にケーキを持ってきてくれた。その後、彼らに招かれ、フライドチキンやチャーハンをご馳走になった。日本語を話せる、おばあさんがいて、私たちはサイパンに住むパラオ人の集まりだと言った。イス取りゲームが、ここまで楽しいものだとは思わなかった。礼を言い、その場を離れた。

 スコールが止んだので、散歩の続きを始める。海に眼をやると、タコが岩にへばりついている。捕獲しようと試みたが、足が切れて逃がしてしまった。その足をそのまま口に放り込む。口の中でモニョモニョと動いているが、そのまま味わった。ホテルに戻り、午睡の後、再びホテルの前のビーチを歩いた。陽が沈むわずかな時間、撮影に専念する。周囲が暗くなった頃、この浜辺でも地元の人たちの祭りが始まった。簡単なステージが設けられて、そこでファイアーダンス等が演じられている。しばらくそれをぼんやりと眺めていたら、料理が載ったプレイトを10歳くらいの男の子が持ってきてくれた。他にも料理があるから、好きなのを取って食べていいと言われたので、ご馳走になることにした。その中に、ブタの丸焼きがあった。これを作るために、砂浜に穴を掘っていたのか。

 グァムでは、残念ながらこのような出会いはなかった。あまりにも観光地化されていて、生活をしている人たちには、ほとんど出会わなかったのだ。僕がサイパンに思い入れが強いのはそのためだ。

 この写真、とても気に入っているけど、ネガに傷を付けてしまったのでもう再プリントすることは出来ないのが残念。

 それで、部下にどんな内容の手紙を書いたかのかなんだけど、それはこのブログの記事とほとんど同じ内容。誰かと出会って自分のサイパンを見つけなさいってことだね。

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