久しぶりに暗室に入った。ある程度プリントしてみたいと思うようなネガが溜まらないと暗室作業をする気にはなれないのだ。まずは35mmのベタ焼きを作成するところから開始する。実は、ベタ焼きを作るのは、やめようとずっと思っていた。昨年の2月に祖母が亡くなり、遺顔を撮影した。ネガ現像はしたけど、ベタ焼きとはいえ、さすがにネガではなく正像で見るだけの精神的な余裕がなかったのだ。印画紙の価格も上がったことだし、一度はやめようと思った。2013年は、まったくと言っていいほど暗室に入らなかったのは、その数カットの写真に触れることを避けていた節もある。2013年はとにかく写真を撮らなかった。35mmは6本しか撮影していない。
それでもベタ焼きを継続して作ろうと思い直したのは、過去のベタ焼きを見たときに、息子を撮影した成長記録とも言えるカットが散見されたからだ。フィルムが余った時は、撮るものがないので息子を撮るようにしている。ベタ焼きは無機質なインデックスプリントではなく、小さな写真の集合体であることを発見した。今まで数百本、ベタ焼きを作り続けた。これからも35mmに関してはベタ焼きを作り続けていこう。例え1本のうち全カットが駄作のフィルムであったとしても。
シートやブローニーはフィルム面積が大きく視認性に優れているので、元々、ベタ焼きは作っていない。でも、35mmはベタ焼きを作っておかないと、一枚一枚の写真が埋没してしまうのだ。
ベタ焼きを作ることの効用は他にもある。撮影時の露出やネガ現像が安定していれば、フィルムや印画紙を変えない限りは、引き伸ばしレンズのF値と露光時間をメモしておけば、ベタ焼きを作るのに試し焼きは必要ない。これはストレートプリントを作る時でも同じなのだが。ところが今回はいつもより2割ほど多めの露光時間が必要だった。撮影時の露光で失敗しているのなら、撮影カットごとにバラつきがあるはず。でも、そうではなく全カットが同じ濃度になっている。露出計のEI設定は間違いなかったはずだ。それならネガ現像を押し過ぎたのが原因だ。次回は、もう少し浅めの現像を心がけよう。
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