2011年12月アーカイブ

星と祭〈上〉 (角川文庫)  
 
 井上靖の「星と祭」を読んでから、湖北地方の観音巡りをしたいとずっと思ってきた。この地は何度も訪れる機会があるのだが、写真撮影やカヤックの用事で、仏像をゆっくり見る機会はなかなかない。いつでも行くことが出来ると思いつつ、今まで見に行く事が出来なかった。

 この日は、最近、すっかり出番が少ないカメラ2台、マミヤC330f、ニコンnewFM2、これまた出番がほとんどない三脚とカメラバッグのスリックのPRO500DX、ドンケF2という、僕にとってかなり珍しい組み合わせで出かけた。

 なぜ、観音像を見に行くのに、カメラを持っていくのか?
それは、この辺りは、風情のある集落が多いからだ。街並や町並という言葉ではなく、「集落」という単語が相応しい場所だ。数日前に雪が降ったので、雪と絡めて撮影したいと思ったのだ。

 十一面観音の最初は、やはり、国宝の渡岸寺から見ることにする。この仏像は、平安時代のもの。この地方に住む人々の手により、幾たびかの戦火を逃れて時代を重ねてきた。腰を少しひねる様なポーズで、優美な感じがする。それは後ろから見るとよく分かる。

 拝観後、近くの食堂で山菜そばを食べて体を温めた。それから撮影機材を持って、渡岸寺周辺の集落を歩きながら、土蔵等を撮影する。newFM2とマミヤC330fとの組み合わせはいかがなものかと思ったが、意外にテンポ良く撮影出来る。しかし、ウエストレベルファインダーの泣き所は、ハイアングルの撮影が非常に困難なことだ。スポーツファインダーを使って何枚か撮ったが、どの程度の精度でフレーミング出来ているか不安が残る。

 集落を一通り見た後で、車に乗り込んで出発するが、駐車場内の雪でスタックして、立ち往生してしまった。同乗していた友人と、車の下の雪をかき出して、何とか脱出。いくらスタッドレスタイヤでも、雪にはあまり近づかない方が良さそうだ。その後、小堀遠州の近江孤逢庵がある浅井町の集落へ行く。近江孤逢庵へは、またそのうち行くとして(またそのうちが長くなりそうだが。。)、この集落も撮影しながら散策してみる。

 3時頃になったので、琵琶湖へ向かう。風が冷たく波が立ち、雲間から光が竹生島に降り注いでいる。冬の琵琶湖の光景だ。でも、ここでは写真を撮らなかった。手元に大判カメラもあったのだが、あまり心惹かれる光景ではなかった。やはり、秋の夕暮れには適わないな。

 T-MAX100(120)の5本セットが、かなり安くなっている。価格的にはアクロスよりも魅力的だ。でも、相反則不規特性(これはなんとかなるかな)と、現像データを取る面倒くささがあるので、乗り換えは簡単ではないな。

フィルム現像

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20111227.jpg

 マミヤC330fに入ったままになっていて、何を撮ったか記憶にないフィルムを現像してみた。なんと、前の冬の雪景色の写真だった。前に雪が降ったのはいつのことだっただろうか。今年の2月くらいかな。

 リールや現像タンクは、造形的にも美しいと思う。LPLの現像タンクの現行品は、フタがステンレスではなくプラスチックになってしまった。もし今度、これと同等のナイコール型の現像タンクを買うのであれば、アメリカから個人輸入するしかないのかと思っている。

20111226 .jpg 暗室作業をするには室温的にも液温的にも厳しい時期になってきた。とか言いつつも全然暗室作業はやっていないけど。

 

 液温調整は、恒温器があるので、それで適正な液温を維持出来るからいいんだけど、暗室にエアコンがないので、寒くて仕方がない。今までは隣室のエアコンから温風を送ったり、石油ファンヒーターを使っていたけど、隣室のエアコンでは部屋が温まらないし、石油ファンヒーターは灯油を燃やすので結露の心配がある。

 

 ヤマダ電機でセラミックヒーターが2980円で売っているのを発見したので、これを引き伸ばし機が置いてある台の下に設置して足元を温めることにした。暗室は4畳ほどのスペースしかないので、これでも温まるだろう。しかも、冬の間の僅かな期間に数回の作業しかしないだろうから、消費電力について不利なセラミックファンヒーターだが、これで行こうと思っている。

中古カメラ市と買い物

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 12月23日に、近々、大判写真を始めるカヤック仲間のてっさんと、名古屋のマルエイで開催されている中古カメラ市へ行って来た。てっさんは、今年から写真を始められたのだが、もう大判まで行き着いてしまったというわけだ。既に、コマーシャルエクターを入手されている。今のところは、マミヤのRBにコマーシャルエクターを装着して撮影しておられるが、近々タチハラを購入される予定だとか。

 この日はとても寒かったが、名古屋の街は年末ということもあって、人でいっぱいだ。田舎と違って、街を歩いている人たちの平均年齢はかなり若そうだ。早速、マルエイ百貨店の催事場へ行き、何かいいものがないか物色する。探していると、フィルターが100円でたくさん売られているのを発見した。使用頻度の高いマルミの口径67mmのオレンジフィルターが、かなりきれいな状態なのに100円だったので、いつも使っているものの予備として購入した。

 それから、フィルムピッカーもかなり程度の良い状態で300円で売られていた。これは、35mmフィルムを現像するときの必需品である。新品で買うと、こんなものでも、そこそこの値段するので、予備に買っておいた。まさか、こんなものまでが売られているとは思わなかった。

 今やカメラと言えばデジタルカメラだが、この中古カメラ市では、デジカメよりもフィルムカメラの販売が中心だった。客もそこそこいて盛況のようだ。てっさんは、大判カメラで使うトヨのロールフィルムホルダーを、お値打ちに入手されたようで、二人とも目的を果たし、テレビ塔近くの公園に行き、タチハラを取り出して、大判カメラのアオリの体験をしてもらった。それにしても、大判カメラについて数年に渡り、啓蒙活動しているわけだが、お役に立てて嬉しい限りだ。

 その後、矢場とんに行き、みそカツを食べた。実は、僕は矢場とんは初めてだったのだが、やはり本場のみそカツは旨い。コレステロールが心配だが。。写真やカヤックの話をしながら食事を終えて、地下鉄に乗り、名古屋駅のビックカメラに向かう。プリントエクスチェンジに使うケントメアのRCが欲しくて、暗室コーナーに向かうが、ケントメアはこの店舗には置いていないし、もはや暗室コーナーは僕にとっては絶望的な品揃えになってしまった。諦めて店を出て、電車に乗り、途中の駅でてっさんとは、別れた。

 帰宅して、ビックカメラ.COMでケントメアのRCと、引き伸ばしレンズ用の乾燥剤を注文したら、2日で宅配された。暗室用品については、実店舗で買うことは、これからはほとんどないな。今のところ、調色特性や風合い、ケントメアの印画紙が一番僕には合っている。プリントエクスチェンジは、同じものを何枚も作る必要性があることから、ブリーチや調色を工程に取り入れると再現性が困難なバライタよりも、RCを使いたいと思う。
20111219.jpg

 近所の雑木林に、カラスウリが自生しているのを発見したので、採取して静物写真を撮ってみた。フィルムが白黒なので、もちろん鮮やかなオレンジ色には写らないのだけれど。
 
 こういう記録写真を撮るのも、コンデジでは撮影しにくい。やっぱり、安価なものでも一眼はいいなと思う。
 
EOS Kiss X3  EF-S 18-55IS F3.5-5.6
 
 

ピアノとマミヤC330f

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20111212.jpg

久しぶりにマミヤC330fを取り出してみる。何を撮ったか記憶にないトライXが、入ったままになっている。
 

 このカメラ、あまりの使用頻度の低さに、手放そうかと思ったことがある。昨年、交換レンズの55mmは、売却した。
購入金額とほぼ同じ金額で売ることが出来た。

 ボディとパラメンダーも売ってしまおうと思ったが、このカメラの80mmの描写と気持ちの良いファインダーの見え具合、がっしりとした操作感のあるボディ、そしてかなり程度の良い個体ということもあり、なかなか手放すことが出来ずにいる。

 具体的に何を撮るのに適しているのかまったく分からないけど、いつか出番があるはずだと思うのだ。

 息子がピアノを習い始め、バイエルを持ち帰ってきたので、それを見て自分でも弾いてみる。最初の方は楽勝。でもヘ音記号や左手で弾く部分が出てきたりしたら、すぐに挫折してしまいそうだ。

 数日間、ピアノに触ってみて分かったことは、楽譜を解読しながら弾いていたのでは、上達しないということだ。楽譜を見て、脳で変換して指を動かすのではなく、楽譜を見る眼と指が連動するようにしないといけない。ピアノを始めたごく初期の段階では、机上で楽譜を早く読めるようにした方が上達が早そうだ。

 もちろん、誰かに聴かせようとか思っていない。ただただ、自分ひとりの楽しみとして弾くだけ。

 それは、僕にとって写真も同じこと。

 アンセル・アダムスは、かつてピアニストを目指していたこともあり、「ネガは楽譜、プリントは演奏」という有名な言葉を残している。


鍵盤を見ながら、写真に思いを馳せることもあったのだろう。

 

写真:EOS Kiss X3  TAMRON SP AF 28-75mm F/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (Model A09)

F2.8 AUTO

20111214.jpg


 この世界のもの全てを単一のフォーマットで表現することは出来ない。被写体に応じた最適のフォーマットを選択するべきである。ここでいうフォーマットとは、フィルム面積の大小ではなく、「画面アスペクト比」についてである。

 僕が使用するであろうフォーマットは、

・ 1:1 (6×6)

・ 2:3 (135、6×9)

・ 3:4 (6×4.5、6×8)

・ 4:5 (4×5)

・ 6:7 (6×7)

 

 この7種類になるんだけど、もちろん7種類のフォーマットのカメラを所有しているわけではない。そもそも、どのアスペクト比が適しているのかは、撮影現場でしか分からないことが多いので、それに対応出来るように、カメラ(あるいはフィルムホルダー)を7種類常に用意して持ち歩くのは、機動性及びコストにおいても、現実的ではない。

 

ケース1

 例えば、撮影時に6×9のカメラしか手元になく、撮影対象が1:1で撮影するのが最も適していると判断したのであれば、無理やり6×9(2:3)で作画するようなことはせず、プリント時に6×6(1:1)にすることを前提として、撮影に望んでいる。

 

ケース2

 6×9であるいは4×5で撮影し、ネガ現像したが、プリント時に1:1の方が適していると感じた場合、躊躇なくトリミングして1:1でプリントすることにしている。

 

 ケース1の方が、作品制作段階の初期に近い部分で、言わば確信的にフォーマットを決定しているので、完成度が高いような気がするが、ケース2のトリミングで画質に低下がなければ、結果は同じと言えるだろう。

 

 「トリミングしない」ことを信条にする向きがあるが、それは135のような小フォーマットにおいては、トリミングによる画質低下が顕著になるので合理的だとは言えるが、フィルム面積が画質低下を招かないほどの広さを持っているのであれば、限られた機材を有効活用するためにも、トリミングで多様なアスペクト比を作り出す手法が適していると言える。

 

と、思う。

 


犀川水門でテスト撮影

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20111211.jpg

 前回のエントリーに記載した橋へ行ってみたけど、風が強かったせいか川面にさざなみが立っていて、撮影に適した状態ではなかったので、対象を変えることにした。ここは、幼少期から慣れ親しんだ場所。 

 風景撮影はいつもアクロスを使い、かなり絞り込んで撮っている。必然的にシャッタースピードはかなり遅くなり、ほとんどの場合、8分の1秒以下となる。その条件では、動いているものを撮るのは絶望的になる。 

 この写真の撮影状況は、水門を兼ねる橋の上部のポール(!?)の間に通行人が入り込むように、シャッターを切るイメージで作画することにする。

 アクロスでは、通行人を止めるシャッタースピードは得られないので、フィルムをトライX(EI400)にして、F8で125分の1秒のスピードを確保する。それでもギリギリだ。撮影感度をいつものEI200ではなく、EI400としたのは、速いシャッタースピードを得たいという理由もあるが、撮影対象の輝度幅が狭かったという理由もある。撮影時は、水門の青い部分がゾーン5となるように露出を設定した。

 しかし、初冬の夕方にこんな川辺を散歩する人がいるはずもなく、30分くらい粘ったけど、自転車に乗った中国人の2人組みの女の子が通り過ぎただけだった。通行人が徒歩ではなく自転車だったため、完全に静止させることは出来てはいないだろう。

 あまりにも人が通らないのに嫌気がさし、絞り込んで通常の低速シャッターによる風景写真も撮ってみる。フィルムがトライXなので、相反則不規特性の領域に入らないように露出を設定する。6×9で撮影出来る8枚を撮りきってこの日は終了。

 

 この日のブログの写真は、安いコンデジを使った。やっぱり写りに満足できない。次にコンデジを買うときは、RAWモード搭載のものにしよう。

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20111210.jpg

 橋の写真を撮ろうと思っている。

 最近気に入っている写真家「David Plowden」が、橋をテーマにした写真集を出していて、その一部は、ウェブサイトでも掲載されている
この写真集、欲しいけど日本のアマゾンだと、結構いい値段なので躊躇する。アメリカのアマゾンだと古本があるので、送料を考えてもアメリカのアマゾンで古本を買ったほうがいい。



  まあ、そんなわけで、近所の揖斐川の橋を見に自転車で出かけてきた。曇り気味で写真を撮るにはイマイチの天気だったし、大判機材一式を抱えてロケハンするのは、フットワークが重くなっていろいろな場所を見れない。今日のところは、キスデジに標準ズームを装着したものでメモ代わりの写真を撮ることにした。

 それにしても、このキスデジX3、何の愛着もない単なる道具としてのカメラだけど、すごく写真を撮っている。購入してから1年と3ヶ月で2600枚くらいは撮っている。僕の場合のフィルムカメラの撮影枚数と比較するとすさまじい枚数だ。

 このエリアには、狭い場所に4本の橋が架かっている。

 今日のブログの写真は、上から2本目の橋の上から樽見鉄道線の鉄橋を撮影したものになる。
 4本の橋のうち、一番おもしろみがないのは4本目の岐大バイパスの橋で、一番興味深いのは、重要文化財の2本目の橋(揖斐川橋)だ。

  川の両岸と、通行可能な橋の部分は全て歩いてみた。興味深い撮影対象を何箇所か発見することが出来たので、写真にしたらどうなるかを検証するために、次回は天気の良い日を選んで撮影機材持参で来ることにする。

 しかし。。。

 以前から興味を抱いていたことではあるが、この揖斐川には中洲があって、そこから橋を眺めるとどういうふうに見えるのだろう。中州には、川の岸辺から歩いてはアクセス出来ない。そうなると、そこそこ水深もある川なので、カヤックで行くのがいいだろうな。東海道本線の南側の右岸に、カヤックを出せそうな場所も見つけたので、そのうち、揖斐川の中洲に立ってみようと思う。

 



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